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公開日:2026/03/06
最終更新日:2026/03/06
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財務諸表論は簿記論と同じく税理士試験における必須科目です。会計科目は受験資格の定めがなく誰でも受験できるため、まずは財務諸表論と簿記論から勉強を始めようと考える人も多いでしょう。
そんな財務諸表論の勉強法について「費用を抑えたいから独学で勉強したい」「仕事やプライベートの都合で通学は難しい」と考える人もいるでしょう。
今回は財務諸表論の独学について解説します。独学で合格を目指す場合のポイントも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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前提|財務諸表論の概要
はじめに財務諸表論の基本情報として、試験の特徴や合格率、勉強時間の目安を紹介します。
財務諸表論の特徴
財務諸表論は大問三問構成で、第一問と第二問が理論問題、第三問が計算問題です。配点は第一問が25点、第二問が25点、第三問が50点とされています。小問ごとの細かな配点は公開されていません。
試験時間は120分で、試験時間内に解き切れるボリュームといえます。
財務諸表論の出題範囲について、国税庁の公式サイトでは以下のように案内されています。
・会計原理
・企業会計原則
・企業会計の諸基準
・会社法中計算等に関する規定
・会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)
・財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則
・連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則
引用:試験日程・試験科目について|国税庁
財務諸表論の合格率推移
財務諸表論の直近5年分の受験者数・合格者数・合格率の推移は以下の通りです。
| 実施年度(回) | 財務諸表論受験者数 | 財務諸表論合格者数 | 財務諸表論合格率 |
| 令和7年度(第75回) | 15,629人 | 4,980人 | 31.9% |
| 令和6年度(第74回) | 13,665人 | 1,099人 | 8.0% |
| 令和5年度(第73回) | 13,260人 | 3,726人 | 28.1% |
| 令和4年度(第72回) | 10,118人 | 1,502人 | 14.8% |
| 令和3年度(第71回) | 9,198人 | 2,196人 | 23.9% |
財務諸表論の合格率は年によって違いが大きく、「○%程度」と表現するのは難しいです。合格率が低い年と高い年が交互に訪れていますが、将来的にもこの動きが続くとは限りません。
参考として、税理士試験の他の科目の合格率を紹介します。
【第75回税理士試験 各科目の合格率】
| 科目名 | 合格率 |
|---|---|
| 簿記論 | 11.1% |
| 財務諸表論 | 31.9% |
| 所得税法 | 13.0% |
| 法人税法 | 13.5% |
| 相続税法 | 13.8% |
| 消費税法 | 10.1% |
| 酒税法 | 12.2% |
| 国税徴収法 | 13.8% |
| 住民税 | 17.8% |
| 事業税 | 12.3% |
| 固定資産税 | 15.5% |
各科目の合格率は10~20%程度です。財務諸表論の合格率は予想が難しいですが、他の科目と同じぐらいである10~20%を目安に考えるのが良いでしょう。
必要な勉強時間の目安
財務諸表論および簿記論の合格に必要な勉強時間の目安はそれぞれ400~600時間程度といわれています。1日に2時間の勉強を続けても1年弱はかかります。簿記の学習経験がない場合はさらに多くの勉強時間が必要です。
なお、税法科目の勉強時間の目安は以下の通りです。
| 科目名 | 勉強時間の目安 |
|---|---|
| 所得税法 | 500~700時間 |
| 法人税法 | 500~700時間 |
| 相続税法 | 500~700時間 |
| 消費税法 | 200~300時間 |
| 酒税法 | 150~250時間 |
| 住民税 | 150~250時間 |
| 事業税 | 150~250時間 |
| 固定資産税 | 150~250時間 |
| 国税徴収法 | 150~250時間 |
財務諸表論や簿記論といった会計科目は、税理士試験の科目の中では必要な勉強時間が多い方といえます。
財務諸表論に独学で合格できる?
結論として、財務諸表論の独学合格は不可能とはいえないものの難易度が高いといえるでしょう。主な理由は以下の5点です。
・合格率が低い年は8%、高い年でも30%を少し超える程度と、決して合格率が高いとはいえないことから難易度の高さが伺える
・財務諸表論は出題範囲が広く、1人で全範囲をこなすだけでも多大な時間を要する
・不明点を自分で解消する必要がある
・最新動向や法改正などの情報収集も自分で行う必要がある
・モチベーションの維持が難しい
一方で、財務諸表論は税法科目に比べて独学での勉強がしやすい科目でもあります。理由として以下の2つが挙げられます。
・簿記の学習や会計実務で扱う内容と被る部分が多い
・税法科目に比べて市販のテキストや問題集、独学での勉強に役立つコンテンツが充実している
実際、必須科目である簿記論と財務諸表論は独学で勉強し、税法科目のみ専門学校を利用するケースも多いです。難易度が高いことには変わりありませんが、ポイントさえ押さえれば財務諸表論の独学合格は夢ではないといえるでしょう。
財務諸表論の独学合格を目指す場合のポイント
財務諸表論の独学合格は不可能ではないものの、難易度が高いのは事実です。独学合格を目指すのであれば、やみくもに勉強を進めるのではなく、コツを押さえた効率的かつ効果的な勉強をするのが理想です。
この章では財務諸表論の独学合格を目指す人が押さえるべき勉強のポイントを4つ紹介します。
最初に大まかなスケジュールを立てる
いきなり勉強を開始するのではなく、まずは大まかなスケジュールを立てましょう。
最初にスケジュールを立てるべき理由として以下の3つが挙げられます。
・出題範囲が広く、計画的に勉強を進めなければ出題範囲を網羅できない恐れがある
・インプット、アウトプット、直前対策の期間をそれぞれ設ける必要がある
・「今日は何を勉強するか」「今日はどこまで勉強するべきか」を毎日考えること自体が負担になる恐れがある
予備校を利用する場合、勉強のスケジュールは自然と予備校のカリキュラムに沿ったものになります。一からスケジュールを立てる必要はなく、勉強のペースで悩むことも少ないでしょう。
一方で独学の場合、勉強の進め方を自分で決める必要があります。スケジュールの立て方自体がわからず、スケジュールを立てるのに想定以上の時間がかかってしまう可能性もあるでしょう。本格的な勉強を始める日よりも少し前に、勉強スケジュールを立てるための時間を確保するのが理想です。
適切な教材を選ぶ
財務諸表論の独学において、教材選びは非常に重要です。どのような教材を選ぶかによって、勉強の進めやすさや定着のしやすさが大きく変わります。
財務諸表論の独学で使う教材の選び方についてのポイントを3つ紹介します。
今の自分に必要な教材から少しずつ揃えていく
インプット、アウトプット、直前対策等、試験当日までに使うすべての教材を一度に購入するのはおすすめしません。教材の好みや今の自分に必要な教材は、勉強を進めるうちに少しずつわかっていくものだからです。最初はインプットに使うテキストや基礎レベルの問題集のみを購入しましょう。
解説が詳しい教材を選ぶ
税理士試験は理論や公式の丸暗記では通用しません。「なぜそうなるのか」「どのように考える必要があるのか」といった深い理解が求められます。
予備校は講師による説明がメインで、テキストは補足・補完に近いポジションです。また、不明点があれば講師に直接質問ができます。
しかし、独学の場合は理論や計算方法の理解から不明点の解消まですべて自分で行う必要があります。そのためなるべく解説が詳しい教材を選ぶのが理想です。
法改正や会計・税務制度の改正に対応しているか確認する
税理士試験は基本的に最新の法制度に沿った問題が出題されます。過年度の教材は法改正等に対応しておらず、古い情報が記載されている恐れがあります。
誤った情報を覚えてしまうことを避けるため、必ず法改正や会計・税務制度の改正に対応しているかを確認した上で、最新の教材を選びましょう。基本的に過年度の教材や中古の教材は避けることをおすすめします。
理論と計算をバランス良く勉強する
財務諸表論の独学では、理論と計算をバランス良く勉強することを意識する必要もあります。
財務諸表論は理論問題50点、計算問題50点の計100点満点です。そして、合格基準は満点の60%と定められています。
すなわち、仮に理論問題または計算問題のどちらかが満点であっても、もう一方の問題の得点が0点であれば不合格となってしまうのです。ここまで極端ではなくても、理論と計算のどちらかで点数をほとんど取れなかった場合、合格の可能性はかなり低くなるでしょう。
以上の理由から、財務諸表論の合格のためには、理論問題と計算問題の両方で高得点をとる理想です。したがって理論問題と計算問題の両方をバランス良く勉強する必要があります。
模擬試験を受ける
財務諸表論の独学合格を目指す場合でも、模擬試験は受けるのがおすすめです。模擬試験を受けるべき理由として以下の3つが挙げられます。
・独学では他の受験生を意識する場面がほとんどないため、財務諸表論の受験者が多く集まる環境が刺激になる
・本番に近い環境で問題を解く経験をすることで、試験当日に緊張しすぎてしまうリスクを抑えられる
・財務諸表論に詳しい講師等が作成した模擬試験は予想問題としての質の高さも期待できる
なお、スケジュールの都合等により模擬試験を会場で受験するのが難しい場合でも、予想問題や過去問は必ず解きましょう。本番と同じ制限時間を設定し、なるべく集中できる環境を整えることで、本試験の練習になります。
財務諸表論の独学に関するよくある質問(FAQ)
財務諸表論を独学で学ぶにあたって、受験生からよく寄せられる疑問をまとめました。
Q1. 簿記の知識が全くなくても財務諸表論の独学は可能ですか?
A. 不可能ではありませんが、かなり難易度が上がります。財務諸表論の計算問題は日商簿記の知識がベースとなっているため、まずは日商簿記2級・3級程度の知識を身につけてから取り組むことをおすすめします。
Q2. 財務諸表論の理論問題はどのように勉強すればいいですか?
A. 単なる暗記ではなく「なぜその会計処理になるのか」という背景や理由を理解することが重要です。最新の会計基準や法改正に対応した解説の詳しいテキストを選び、計算問題と関連付けながら理解を深めましょう。
Q3. 簿記論と財務諸表論は同時に受験(独学)した方がいいですか?
A. はい、両科目は学習内容に重複する部分(特に計算問題)が多いため、同時受験を目指すことで相乗効果が期待できます。ただし、両科目合わせて800〜1,200時間程度の勉強時間が必要になるため、綿密なスケジュール管理が不可欠です。
Q4. 独学で勉強していて、どうしても分からない問題が出た時はどうすればいいですか?
A. 独学の最大の壁は「質問できる環境がない」ことです。解決策として、解説が充実している教材を選ぶことはもちろんですが、SNSやオンラインの受験生コミュニティ、あるいは単発で質問できるサービスなどを活用して疑問を解消する工夫が必要です。
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財務諸表論は独学で合格できる?‐まとめ
財務諸表論の独学合格は難易度が高いものの、不可能ではありません。
財務諸表論の合格率は低い年で8%、高い年でも30%強決して高いとはいえません。出題範囲が広く1人ですべてこなすのは難しい、最新動向や法改正などの情報収集も自分で行う必要がある等、注意点も多く存在します。
しかし、財務諸表論は簿記の学習や会計実務で扱う内容と被る部分が多いため、人によっては理解しやすい可能性もあります。また、市販の教材や学習に役立つコンテンツが充実しているため勉強がしやすいです。このような理由から、財務諸表論は税法科目に比べて独学がしやすい科目です。
とはいえ、財務諸表論の独学合格は難易度が高いのも事実であるため、ポイントを押さえた効率的・効果的な勉強を進める必要があります。財務諸表論の独学合格を目指す人は、ぜひ今回紹介した勉強のポイントを参考にしてください。









