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税理士試験合格後は何が必要?試験合格後から税理士になるまでの道筋
2024/12/23
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税理士とは?
税理士とは、日本における税務の専門家であり、個人や企業の税務申告、税務相談、税務調査の立ち合いなどを行う職業です。
では、税理士になるにはどうすれば良いのでしょうか。
この記事では、税理士になるために必要な手順や、試験に合格するためのポイント、税理士資格取得後のキャリアまで解説していきます。
これから税理士を目指す方や税理士の仕事に興味がある方は、是非参考にしてみてください。
税理士になるには資格取得が必要
税理士になるためには、まず「税理士試験」に合格することが必要です。
税理士試験は合格率が15%から20%とかなり低く、難関資格であるといえます。
また、税理士試験に合格するためには11科目あるなかの5科目に合格する必要があり、各科目別の合格率をみても10%から20%程度と、簡単に取れる資格ではありません。
日本税理士連合会より発表されている税理士試験に合格するまでにかかる平均年数は約8.6年と言われており、資格取得までにかなりの時間を有することを頭に入れておく必要があります。
税理士という資格の魅力
税理士試験は難易度が高く、資格取得までにかなりの時間を必要とすることをお話しいたしました。しかし、時間をかけてでも税理士資格を取りたいと思わせるほど、非常に魅力的な資格でもあるのです。
まず、税理士は税務のプロフェッショナルとして、多様な業種や個人のクライアントに対して税務相談や申告書の作成を行います。この専門知識は常に需要があり、特に税法が頻繁に改正される日本では、税理士の役割がますます重要視されています。
さらに、税理士資格を持つことで、安定した収入と社会的地位を得ることが可能です。税務に関する知識は、経営全般や資産運用にも応用が効くため、経済全般に対する理解が深まり、キャリアの幅を広げることができます。
また、税理士資格を取得することで独立開業が可能となります。自分自身のペースで仕事を進められる自由度の高さは、働き方の多様化が進む現代において大きな魅力の一つです。
さらに、税理士は他の専門家とのネットワーク構築も容易であり、弁護士や公認会計士、社労士といった他の士業と連携することで、より包括的なサービスを提供することも可能です。これにより、顧客との信頼関係を深め、長期的なビジネスパートナーシップを築くことができます。
このように、税理士資格は専門性の高さと自由な働き方を両立させたい人にとって、非常に魅力的な資格です。自身のスキルを活かしながら、経済的な安定とキャリアの成長を達成するための手段として、多くの人が税理士を目指しているのです。
税理士試験の概要
税理士試験は、税務に関する専門知識を証明するための国家試験であり、高難易度な試験として知られています。試験は毎年一度、8月に実施され、5科目の試験に合格することが求められます。試験科目は合計で11科目ありますが、その中から会計学2科目(簿記論と財務諸表論)と、税法科目3科目を選択して受験します。選択科目には、法人税法、所得税法、消費税法等があり、受験者は自分の興味や得意分野、今後のキャリアパスに応じて科目を選ぶことができます。
試験は記述式で行われ、各科目の試験時間は2時間です。合格基準は各科目ともに100点満点中60点以上で、合格率は科目によって異なりますが、全体としては10∼20%前後とされています。
税理士試験の特徴の一つに、科目合格制度があります。これは、一度合格した科目はその後の受験で再度受験する必要がない制度で、受験者は自分のペースで試験に合格していくことができます。この制度があるため、働きながら資格取得を目指すことも現実的で、多くの社会人がチャレンジしています。
また、一度取得した科目は生涯有効となるため、5科目合格に期間は定められていません。
税理士試験の受験資格
税理士試験を受験するためには、特定の資格を満たす必要があります。受験資格は以下の通りです。
学識による受験資格
・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目
・大学3年次以上で、社会科学に属する科目
・一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者
資格による受験資格
・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記検定上級合格者
職歴による受験資格
・法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
これらの受験資格を取得することで、ようやく税理士試験に挑むことが出来るのです。
受験資格について、詳しくは「国税庁_税理士試験受験資格の概要」をご確認ください。
引用:国税庁_税理士試験受験資格の概要
高校生でも受験できるか
受験資格を見てみると、高校生が受験するには難しい試験と感じる方が多いのではないでしょうか。
しかし近年、税理士業界の高齢化が進んでおり、税理士人口が減ることを危惧して、税理士試験の受験資格が一部緩和されているのです。
令和5年度(第73回)税理士試験から、簿記論・財務諸表論の受験資格がなくなり、誰でも受験することが可能となったのです。実際に簿記論・財務諸表論を受験して2科目同時合格した高校生がいることが近年話題になっていました。
このように、税理士試験の必須科目のみ高校生でも受験することができるのです。
免除制度とは
税理士試験の免除制度は、特定の条件を満たすことで一部または全ての試験科目の受験を免除される制度です。
具体的には、大学院で税法または会計に関する特定の課程を修了することで、関連する科目の試験が免除される場合があります。
例えば、税法関連の修士課程を修了した場合、税法に関する科目の免除が適用されます。この制度は、実務経験を積むことなく学問的なアプローチで試験の一部をクリアできるため、学業に専念したい学生や研究者にとって大きなメリットとなります。
さらに、国税庁における一定の職務経験を有する場合も、試験の一部が免除されることがあります。例えば、税務署や国税局での実務経験がある場合、その経験に応じて特定の科目が免除される可能性があります。これにより、実務で得た知識や経験を活かしながら、試験の負担を軽減することができます。
ただし、免除制度を利用するには、詳細な要件を確認し、適切な申請手続きを行う必要があります。免除が認められるためには、大学院や職務経験に関する証明書類の提出が求められることが一般的です。
これらの手続きを適切に行うことで、税理士試験における戦略的なアプローチが可能となり、効率的に資格取得を目指すことができます。
税理士試験の科目
税理士試験の科目は以下の通りです。
カテゴリー | 科目 | 必須条件 |
---|---|---|
会計科目 | 簿記論 | 必須科目 |
財務諸表論 | ||
税法科目 | 所得税法 | 所得税法または法人税法のいずれか必須 |
法人税法 | ||
消費税法 | 消費税法または酒税法のいずれか一方のみ選択可 | |
酒税法 | ||
相続税法 | 任意 | |
固定資産税 | ||
国税徴収法 | ||
住民税 | 住民税又は事業税のいずれか一方のみ選択可 | |
事業税 |
必須科目と選択科目
この試験は、会計や税務の専門的な知識を測るもので、必須科目と選択科目に分かれています。
必須科目としては「簿記論」と「財務諸表論」があります。
簿記論では、会計の基本的な手続きや帳簿の作成技術を学びます。
一方、財務諸表論では、企業の財務状況を把握するための理論と実践を学ぶことになります。
選択科目については、受験者が自分の興味やキャリアプランに応じて3科目を選択します。
選択科目には「法人税法」「所得税法」「相続税法」「消費税法」「酒税法」「国税徴収法」「住民税」「事業税」「固定資産税」が含まれています。特に法人税法と所得税法は、選択科目の中でも人気が高く、難易度も高いとされています。
選択科目は専門性が高いため、受験者は自分の将来のキャリアや職務に直結する科目を選ぶことが重要です。例えば、企業の税務コンサルタントを目指すのであれば、法人税法や消費税法を選ぶと良いでしょう。
一方、相続関連の業務に携わりたい場合は、相続税法が役立ちます。
このように、受験者自身の興味やキャリアプランを考慮した上で科目を選択することで、試験勉強のモチベーションを高め、合格への道が開けるでしょう。
各科目に必要な勉強時間
では、それぞれの科目に必要な勉強時間はどのくらいなのでしょうか。
以下では、日商簿記2級合格程度の知識があることを前提に、科目別に必要な勉強時間をまとめています。
科目 | 必要勉強時間 |
---|---|
簿記論 | 500~800時間程度 |
財務諸表論 | 500~800時間程度 |
所得税法 | 900~1,500時間程度 |
法人税法 | 900~1,500時間程度 |
消費税法 | 600~900時間程度 |
相続税法 | 900~1,100時間程度 |
固定資産税 | 300~450時間程度 |
酒税法 | 300~450時間程度 |
国税徴収法 | 300~450時間程度 |
住民税 | 300~450時間程度 |
事業税 | 300~450時間程度 |
科目別に必要な勉強時間を参考にスケジュール設定を行うことで、効率的に税理士試験に合格できる可能性があります。
科目別合格率
科目別の合格率も気になるところではないでしょうか?
以下では、令和5年度の科目別合格率及び前年度の合格率を掲載しております。
科目 | 令和5年度合格率 | 令和4年度合格率 |
---|---|---|
簿記論 | 17.4% | 23.0% |
財務諸表論 | 28.1% | 14.8% |
所得税法 | 13.8% | 14.1% |
法人税法 | 14.0% | 12.3% |
相続税法 | 11.6% | 14.2% |
消費税法 | 11.9% | 11.4% |
酒税法 | 12.7% | 13.2% |
国税徴収法 | 13.9% | 13.8% |
住民税 | 14.7% | 17.2% |
事業税 | 16.4% | 14.1% |
固定資産税 | 17.3% | 18.4% |
しかし、財務諸表論に限っては前年度と比べて約13%も増加していることから、受験者合計の合格率は令和4年度の16.7%に対して、令和5年度は18.8%と増加しているのです。
税理士試験合格のための勉強法
税理士試験の合格を目指すためには、計画的で効率的な勉強法が不可欠です。
この章では、税理士試験合格に向けたポイントをご紹介いたします。
効率的な勉強スケジュールの立て方
効率的な勉強スケジュールを立てることは、税理士試験の合格に向けた第一歩です。
まず、試験日から逆算して全体の勉強期間を決めましょう。この期間をさらに月単位、週単位、日単位に分割し、各期間ごとの目標を設定します。
具体的には、各科目のボリュームと自身の理解度に応じて勉強時間を割り振り、優先度を付けて計画を立てるのが理想的です。
次に重要なのは、毎日の勉強ルーチンを確立することです。例えば、朝は新しい内容を学び、昼は問題演習、夜は復習に充てるなど、時間帯に応じて異なる学習活動を行うと効率が上がります。
また、定期的に模擬試験を実施し、進捗状況をチェックしながらスケジュールの見直しを行うことも大切です。これにより、弱点を早期に発見し、改善することが可能になります。
おすすめの参考書と教材
税理士試験における参考書と教材の選び方は、合格の鍵を握る要素の1つです。
まず、基礎をしっかりと固めるためには、信頼性の高い基本書を選びましょう。多くの受験生が使用している定番のテキストは、試験範囲を網羅しており、初学者にも理解しやすい構成になっています。
例えば、資格の大原が出版している「税理士受験対策シリーズ」は、各科目ごとに詳細な解説があり、初学者から中級者まで幅広く対応しています。
また、出題頻度の高い順にランク付けされている為、優先順位をつけて勉強を進めることが出来るほか、各問題に対する解答時間の目安も記載されているため、常に時間を意識して解答することを習慣化することが可能です。
また、オンライン教材も検討してみましょう。近年では、動画講義やオンラインテストを提供するプラットフォームが増えてきています。これらは自分のペースで学習を進められるため、時間の制約がある社会人受験生にとって特に有効です。
さらに、スマートフォンやタブレットでの利用が可能な教材は、移動中でも手軽に学習を進められるため、スキマ時間を活用しやすいのが特徴です。
最後に、勉強会やセミナーに参加することも一つの方法です。同じ目標を持つ仲間と学ぶことで、モチベーションを維持しやすくなり、情報交換を通じて効率的な学習方法を見つけることができます。これらの参考書や教材を上手に活用し、自分に合った学習スタイルを確立することが、税理士試験合格への近道となるでしょう。
詳しいオススメ教材については、以下の記事をご覧ください。
税理士試験は独学でも合格できる?合格を目指せる勉強法を解説!
税理士資格に合格したらすること
税理士試験に合格した後、すぐに税理士の仕事をすることはできません。では、税理士の仕事をするためにはどうすればよいのでしょうか?
2年以上の実務経験
税理士資格を取得した後、次に必要なのは2年以上の実務経験を積むことです。この実務経験は、税理士としての専門的な知識やスキルを実際の業務を通じて体得するために必ず必要なステップです。実務経験は、税理士事務所や会計事務所、企業の経理部門などで働くことで得られますが、税理士業務に関連する幅広い分野での経験が求められます。
この実務経験は、税理士試験に合格する前や後など時期の縛りはありません。
実務経験を積む期間中には、税務申告書の作成、税務相談、税務調査対応など、実際の税務業務を通して、理論と実践を結びつける機会が豊富にあります。これにより、試験で学んだ知識を実務でどのように活用するかを理解し、クライアントのニーズに即した税務サービスを提供する能力を養うことができます。
しかし試験合格+2年以上の実務経験のみでは税理士として働くことはまだできません。
日本税理士連合会に登録する
試験に合格する事と2年以上の実務経験が終了したら、日本税理士連合会に登録することで、ようやく税理士として仕事をすることが出来るのです。
登録にかかる時間はおよそ2、3ヵ月程度と言われており、かなりの時間を必要とするほか、税理士登録には金額が発生します。具体的には税理士登録に必要な「登録免許税領収証書」の6万円や、「登録手数料」の5万円、「各地域税理士会への入会金」や「年会費」で費用が発生します。初年度は約20万円から30万円程度かかると想定しておきましょう。
また、資格維持費として1年ごとに約10万円から15万円かかるため、税理士でいるためには毎年かなりの出費があります。
登録に関する詳しい手順や必要な書類については、以下の記事をご覧ください。
税理士登録には何が必要?申請に必要な要件とその方法を説明!
税理士資格取得後のキャリア
税理士資格を取得すると、広範なキャリアの選択肢が開かれます。
税理士として働くメリット
税理士として働くことのメリットには、専門性の高さと安定した需要が挙げられます。税務に関する法律や制度は複雑で頻繁に変更されるため、正確な知識を持つ専門家としての存在は常に求められています。
また、税務のプロとして多岐にわたる企業や個人のサポートを通じて、社会貢献度の高い仕事ができることも魅力です。
税理士資格を活かした他のキャリアパス
税理士資格は税務に限らず、会計や財務、経営コンサルティングなど、幅広い分野で活用できます。企業の財務部門や経営企画部門でのキャリアアップを目指すことも可能です。
また、資格を活かしてアドバイザーとして活動したり、金融機関や公的機関での仕事に就くことも一つの道です。これにより、キャリアの幅が非常に広がります。
独立開業も目指せる
税理士資格を持つことは独立開業の大きな武器にもなります。
自分の事務所を開設し、クライアントに直接サービスを提供することで、自らのペースで業務を進め、収入の上限を自分で決めることが可能です。独立することで、柔軟な働き方を実現し、ワークライフバランスを自分で調整できる利点もあります。
税理士資格を取得することは、雇用される立場だけでなく、経営者としての道を開く可能性も秘めています。このように、税理士資格取得後のキャリアは多様であり、自分の目標やライフスタイルに応じて選択できることが大きな魅力です。
税理士になるにはどうすればいい?-まとめ
税理士は日本における税務の専門家であり、個人や企業の税務申告、税務相談、税務調査の立ち合いなどを行う職業です。
税理士資格取得は、多くの知識と努力を要するチャレンジですが、その先には多岐にわたるキャリアの可能性が広がっています。
税理士になるまでのプロセスは決して簡単ではありませんが、その努力は多くの実りをもたらします。
資格取得を目指す皆様にとって、この記事が少しでも役立つ情報源となり、未来への一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
城之内 楊
株式会社ミツカル代表取締役社長