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公開日:2026/01/15
最終更新日:2026/01/16
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インボイス制度開始から多くの免税事業者(フリーランスや小規模事業者)を支えてきた2割特例。 売上税額の2割を納めれば良いというこの負担軽減措置ですが、令和8年度(2026年度)税制改正大綱において、適用期限の延長は盛り込まれず、予定通り終了することが確実となりました。
また、買い手側(課税事業者)に影響する仕入税額控除の経過措置(80%控除)についても、2026年10月から段階的に縮減するスケジュールとなっています。
本記事では、インボイス経過措置終了の正確なタイムリミットと、2割特例終了後に事業者が取るべき簡易課税への移行について解説します。
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インボイス2割特例はいつまで?延長なしで確定
まずは、インボイス発行事業者になった免税事業者(小規模事業者)にとっての命綱である「2割特例」の期限です。 今回の改正大綱で延長措置が取られなかったため、以下のスケジュールで終了します。
個人の場合(1月〜12月決算)
・ラストイヤー: 令和8年(2026年)分まで
・本則(または簡易)への移行: 令和9年(2027年)分から
個人事業主の場合、「令和8年9月30日を含む課税期間」までが対象となるため、2026年1月〜12月の確定申告までは2割特例が使えます。しかし、2027年(令和9年)の申告からは使えなくなります。
法人の場合
・対象期間: 令和8年(2026年)9月30日の属する事業年度まで
例えば「3月決算」の法人の場合、2026年4月〜2027年3月の期までは2割特例が使えますが、その翌期からは適用外となります。
インボイス2割特例終了後の対策
2割特例が終了すると、原則として「本則課税(売上税額 - 仕入税額)」で計算する必要があります。しかし、卸売業やサービス業など多くの業種では、事務負担の軽い「簡易課税制度」を選択したほうが有利なケースが多々あります。
「2割特例」と「簡易課税」の違い
2割特例は事前の届出不要で適用できましたが、簡易課税は事前の届出が必須です。
・2割特例: 税額は売上の20%(業種問わず)。届出不要。
・簡易課税: 税額は売上の10%〜60%(業種による)。届出が必要。
【重要】届出の提出期限
個人事業主が2027年(令和9年)から簡易課税を使いたい場合、2026年(令和8年)12月31日までに税務署へ「簡易課税制度選択届出書」を提出しなければなりません。 2割特例が終わったから自動的に簡易課税になるわけではないため、この手続きを忘れると、事務負担の重い本則課税が強制適用されてしまいます。
【買い手側】仕入税額控除は70%期間を新設し延長
インボイス未登録の事業者(免税事業者)から仕入れを行った場合、消費税額の一部を控除できる「仕入税額控除の経過措置」について、以下の通りスケジュールが変更されました。
当初予定では「2026年10月から50%」となるはずでしたが、「70%控除」の期間(2年間)が新設され、激変緩和のカーブが緩やかになります。また、経過措置全体の終了時期も後ろ倒しされました。
仕入税額控除の経過措置スケジュール(改正後)
| 期間 | 改正前(当初予定) | 改正後(決定) |
| ~2026年9月30日 | 80%控除 | 80%控除(現行通り) |
| 2026年10月1日~2028年9月30日 | 50%控除 | 70%控除(新設・2年間) |
| 2028年10月1日~2030年9月30日 | 50%控除 | 50%控除(2年間) |
| 2030年10月1日~2031年9月30日 | 廃止(0%) | 30%控除(新設・1年間) |
| 2031年10月1日以降 | 廃止(0%) | 廃止(0%) |
このように、2026年10月以降も消費税相当額の7割を控除できるため、免税事業者との取引におけるコスト増の影響は、当初の想定よりも緩和されることになります。
【買い手側】仕入税額控除の適用額上限の見直し
経過措置の延長という「アメ」の一方で、制度の濫用(租税回避)を防ぐための「ムチ」として、仕入税額控除の適用額上限が見直されます。
改正内容:1事業者あたり「年間1億円」まで
一の免税事業者からの課税仕入れの額の合計額が年間で1億円を超える場合、その超える部分については、上記の経過措置(80%や70%控除)の適用が認められなくなります。
・上限額: 免税事業者1者につき、課税仕入れ年間1億円(改正前は10億円等の高額基準があり実質無制限だったものが厳格化)
・適用開始: 2026年(令和8年)10月1日以後に開始する課税期間から
これは、グループ企業内で免税事業者を意図的に介在させ、消費税の控除メリットを享受するようなスキームを封じる目的があります。一般的な商取引において1社から年間1億円以上の免税仕入れを行うケースは稀ですが、大規模な建設工事や多額の委託費が発生する取引においては注意が必要です。
令和8年度改正のポイント:ルールの厳格化
今回の税制改正大綱では、こうした経過措置の終了を見据え、制度の定着を図るための見直しが行われています。
・高額特定資産の取得による制限:
2割特例の適用期間中であっても、1,000万円以上の高額な資産(建物や機械など)を購入して仕入税額控除を受けた場合、その後の免税事業者への戻りや簡易課税の選択が制限されるルールが厳格に適用されます。
・事務負担の軽減措置は継続:
少額特例(1万円未満のインボイス保存不要)などは継続されますが、あくまで「事務処理」の話であり、「税額計算」の優遇(2割特例)とは別物です。
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インボイス経過措置(2割特例)の見直し -まとめ-
令和8年度税制改正により、インボイス制度の経過措置は、それぞれの立場で異なる対応が求められることになりました。
1. 【2割特例を利用中の事業者】特例は予定通り終了
フリーランスや小規模事業者を支えた「2割特例」は、2026年(個人の場合は12月)をもって終了します。2027年以降、事務負担の軽い「簡易課税制度」への移行を希望する場合は、2026年12月31日まで(法人は適用を受けようとする事業年度開始の前日まで)に届出書を提出する必要があります。期限を過ぎると強制的に本則課税となるため、年内の決断が必須です。
2. 【課税事業者】仕入税額控除は「70%」へ延長・複雑化
一方、免税事業者からの仕入れを行う企業(課税事業者)にとっては、控除率が「50%」ではなく「70%」へ緩和・延長されたことが朗報です。ただし、「1事業者あたり年間1億円」という控除上限が新設されるため、大規模な取引がある場合は管理体制の整備が急務となります。
2026年は、2割特例の利用者にとっては「簡易課税届出のラストイヤー」、課税事業者にとっては「新税率(70%)と上限管理へのシステム対応」の年となります。「まだ先の話」と先送りせず、今のうちから顧問税理士と双方の視点で対策を話し合っておくことを強くお勧めします。
加藤慧大
株式会社ミツカルプロフェッショナル 代表取締役社長









